--サリバンズの中心って誰なの?

オレにしていただいてもいいでしょうか?

一同 (爆笑)

--だってバンマス(曲作りの中心を担う人)だもんね。

実はそこも、この1年で変化があった気がしますね。

--そうなの?

うん、そういう話もしたよね。

--今バンドは何年目?

6年目ですね。

--今までは誰が中心だったの?

誰がっていうより…民主主義的っていうか。

皆の意見を擦り合わせて、中間点を見つけて…

--バランスとると。

でもオレはね、結局それはあんまり良くないと思ったの。

今は匠さんの意見を妥協させない感じにはなってますね。

だからオレも今までよりも熱くメンバーに訴えるようにした。妥協したくないから。 あえて『なんでオレのいうこと分かってくれないの?』って思うようにした。 前よりもある意味ガキっぽくなったというか。

--逆にね。

前は変に大人になろうとしたところがあったんだよね。
みんなの意見を噛み砕いて、全て踏まえて。その上で着地点見つけて。着地点?でも結局、それって『オレの表現じゃない』よなーって。気付いた。思い出した。

--なるほど。

前のやり方だと、やりたい事に到達しきれてなかった。
でもオレ達のやりたいことって、オレのイメージしてることを皆で具現化させる事と同じだと思って。それをオレ自身がリードできてないって事に気付いて、そこから変わった。 駄々っ子になったとしても『オレはこうしたいんだ』って言わなきゃいけない人間なんだと思うようにした。 この1年はその意識が全く違う。

それが故に、スタジオの空気も時には険悪に…(笑)

--(笑) きっとそうだよね(笑)

でもそうなってでも、やってかないとこのバンドの生き方が変わってしまうから。 今までみたいに、波風立てないように『民主主義』してたのが違うのかなって。
何年か経ったらまたそうなるかもしれないよ?
でも、少なくとも今はそうなる時じゃないと思って。このことをバンドの黎明期から主張しきれなかった自分の責任も感じてる。みんなが迷ってしまったのもオレのせいかもと。 だから今は『オレの言う事信じてりゃ間違いないから』って気持ちでやろうとしてる。

--そう思ったきっかけってある?

それはね、全然売れねえから。

一同 (爆笑)

さっきの話の延長になりますけど前回はやっぱりリアクションがダイレクトに…

--前回はそんなにキツかった?

んー…1つの結果を目の当たりにしたというか。

--なるほどね。

だから今回の音源は今までの負のループを抜け出そうとして作った作品だからね。
…結局さ、売れてるバンドってちゃんと曲カッコいいじゃん。ちゃんと曲が良い、歌詞がいい、ちゃんとバンド自体がいいんだよね。だから結局売れねえのは、ただ自分達の力不足なだけなんじゃねえかなと思って。いい曲書いてないとかさ……だと思った。
だから、今一度フラットな気持ちで勝負をすればいいんじゃねえかなと思った。

--じゃあ今回の『Salivation』はフラットな気持ちで…

勿論。フラットな気持ちで作ったピュアな曲たちが入ってる。ガキの頃みたいに『良い曲出来たんで聴いてください』って感じ。

--それくらいワガママな感じでいいよね。オレも『Salivation』聴いたんだけどさ…青くなったよね!(笑)

若返った感じはしますね(笑)

--若返ったね(笑)さっきも豊橋の若い子達の話なんかも出たけど、すごく青くなった。曲単体とかじゃなくて全体の出し方?なのかな。とにかく青い。

まあ…その『青さ』って具体的に何なのかわかんないんだけど…『こういう表現をしたい』、でも『あいつらが(同じような事)やってるから辞めとこう』みたいなリミッターを外したかった。真似になっちゃうとか、そういう変な意識を辞めた。本当にやりたい事をやったって感じ。

--うん、そうだね。

若い時に受けた衝撃みたいなモノがくすぶってて、とにかく意識して、それを今の歳でやったらこうなりましたって感じだね。だから音作りだって今まで出来なかった感じを今回は出せてたりとかする。

--曲とか聴いてる限りさ、オレも最初の音源から聴いてるけど、根本は変わってないっていうか。サリバンズのやりたい事の根本は変わってないけど、アプローチは違うよね。誰に聴いて貰いたいとかある?

オレはね…んー…自分と近いモノを聴いてきた人達かなあ。欲を言えば勿論誰にでも聴いて欲しいんだけど。

--オレは高校生とかさ、そういう層に聴いてもらう機会ってあまりないかもしれないけど、そういう人にも響きそうな気がしたけど。それこそオレ達が高校生の時に聞いてたのがゴイステ、銀杏だったわけで。

でも、その頃の気持ちで(この作品を)聴けてるのはありますよね。

--自分達が青い頃に衝撃を受けた作品達にすごく近い感じはするよね。

誰にでも聴いて欲しいけど、まあ、よく分かんないや(笑)誰にっていうより、どういうシチュエーションで聴いてほしいっていうのはあるかも。

--お、それはどんな?

オレは、部活の帰りにチャリンコこぎながらイヤホンで聴いてほしい。

--(食い気味に)学生じゃねえかよ!

一同 (爆笑)

あとね、田舎の高校で、電車が1時間に1本しかなくて、『あと30分も待たなきゃなー』って時とかに聴いてほしい。

--だから学生じゃねえかよ!!

一同 (爆笑)

--でもわかるよ!そういうことだよね!

そういう系なんだよね。

『冬の部活』的な(笑)

--学校のすげえ好きな子にフラれた後に聴いてほしいとか(笑)

そうそう、そういう事。

--そういう感じだよね。

あと、OLが昼休みにサンドイッチ買って公園でイヤホンで聴いてほしい。

--その絵面は全然思い浮かばねえな!

一同 (爆笑)

でも、いろんなシチュエーションで聴いてほしい。

--若い奴らに聴いてほしいんだな?!(笑)

それか、オレらみてえな連中をノスタルジックな気分にさせたいか(笑)

--そうだね(笑)

でもさ、若い人達に今のオレが書いた歌詞が響くのか?っていう恐怖はあるよ。

--そんな事ないんじゃない?(笑)歌詞見てもさ、すごく分かりやすくない?

それはオレも思ったっす!歌もたいしてハモってないし。

--うん、シンプルになったよね。その分メッセージ性が強くなったというか。

それは書いてる本人以外のメンバーの方が感じてると思いますよ。

ちゃんと考えてるよ。

--メッセージ性?

うん。

--強烈というか、やっぱ分かりやすいよね。

うん。

--だから、若い奴に聴いてほしいんだよね?!(笑)

まあ、つまりそういう事にまとめられてくるよね。

一同 (笑)

--だから是非学園祭とか呼んでもらえるといいよね。本当そんな感じ。 やっぱり聴いてて、さっきも出たけどノスタルジックな気持ちっていうか昔の感じもするし、それが『青い』に繋がってるのかな。

噛み砕いてちゃんと歌詞見るとタクミさんの『今』が出てると思うんですよ。でも全体を纏う雰囲気はそういう感じですよね。

--なんでシンプルになったの?歌詞が。

なんでかっつったら…意味わかんねえ歌詞を歌っても意味がわかんねえから。

一同 (爆笑)

--そう考えるとわかるよ。英語で歌ってた奴がね、日本語になって、今シンプルになって、より簡単な日本語になって。

そう。そっちの方がいいんじゃないかと思って。

--オレは最近はなかなかライブ観れてないんだけど、新作の曲やってる?

もちろん。

--割合的には?

1回のライブではセットリストの中の2-3曲ですけど、お披露目自体はもうほとんど。

--お披露目してない曲もあるはあるんだ。

ですね。まあ現状だとセットリストの半分ほどは新曲入れてないかなくらいですね。

M-1とM-2は最近は必ずやってるけど。

--曲の話になったけど。ズバリ今回の推し曲は?

& (同時に)『ゆるしてくれるかい』(M-2)。

--2人とも?

多分4人ともですね。

--ああそうなんだ!

少なくとも書いたオレはそう思ってるし、『こんな曲書けるんだ』って思った。前のバンド(Anti Social Student。以下:アンステ)の要素もないじゃん?歌詞とか。

--アンステやってたやつが書いたとは思えない内容にはなってるね、確かに。

具体的な情景見える歌詞は新しいなって思いましたね。サリバンズ的には。

元々ああいうタイプの曲は書きたいって思ってたけど、やっと書けた。

今まではもう少し…抽象的っていうか、全員に何かしらの形で当てはめられる感じの言葉選びでしたよね。

まあ、あの曲はオレらみたいなモン(バンドマン)のリアルな歌詞なのよ。

(笑)

もうオレはね、歌詞で綺麗事を書きたくないの。綺麗事書くなんて簡単でさ…

一同 (爆笑)

--これ多分使えねえだろ!(笑)

いや、是非使ってほしいね!簡単なんだよ。 だから自分をどこまで晒け出せるか、ダサさを晒け出せるかってところが熱さに繋がると思ったんだよね。

--ああ。

そういう気持ちをうまいことカッコよく魅せれるカタチに持っていければいいなって。まあ…ロックのあり方なんて人それぞれだけど…

--アンステの時も全曲タクミだよね?

そうだよ。歌詞も。

--じゃあずっとソングライターなんだね。

うん。そこが1番自分の力を出せるところだと思ってるし。

--アンステから数えたら結構な曲数を…

書いてるね..

--その中で今回のアルバムは綺麗事のない自分の言葉を出せた、本心を出せた歌詞だと。

うん。やっぱりサリバンズで書く曲が自分の最先端でありたいから、それが出来てよかったなとは思う。

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